黒電話の細部とコードの影
Gallery / Phone

電話

冷たい受話器。
戻る場所のないコード。

黒電話 受話器 証拠品317 指紋なし

電話は、
誰かに使われる道具ではない。
誰かを選ぶものだった。

電話のギャラリー / Phone.co.jp
Object Gallery

黒電話の姿

『電話』の中心にあるのは、古い黒電話である。 それは怪物の姿をしていない。叫ばない。歩かない。人を追いかけない。 ただ鳴る。そして、人が出るまで待つ。

黒電話は、どこにもつながっていない。 それなのに鳴る。壊しても戻る。封印されても録音に残る。 指紋は検出されず、製造番号は削られている。

このギャラリーでは、電話そのもの、受話器、コード、証拠品317として保管された姿を並べる。 物語を読んだ後に見ると、単なる電話の形が、だんだん入口に見えてくる。

冷たい黒電話の接写
The Object

見れば見るほど、普通の電話に見える。

だから怖い。黒電話は、恐怖の形をしていない。 家の中にあってもおかしくない。祖母の家にあってもおかしくない。 その普通さが、受話器へ手を伸ばさせる。

Details

電話の細部

細部は、物語の中で何度も意味を変える。 ダイヤルは番号を覚えさせ、コードは向こう側へ伸び、受話器は声を閉じ込める。

ダイヤル

数字を押すのではなく、回す。 その重さと戻る音が、番号を手に覚えさせる。 7317317という数字は、音として記憶に残る。

受話器

どの証言にも、受話器が冷たいという記録がある。 室温に関係なく、最初に触れた者は必ず同じ冷たさを語る。

コード

短く切断されているはずのコードが、鏡の中で伸びる。 最後に玲奈が引き抜いたのも、このコードだった。

表面

傷や汚れはある。だが指紋はない。 誰かが触れた証拠だけが、電話の表面から消えている。

ベル

音は大きくない。けれど一度気づくと、部屋のどこにいても同じ距離で聞こえる。 耳ではなく、骨に届く音である。

破片

壊したはずの電話は元に戻る。 しかし破片だけは残る。壊れた事実と、壊れていない現物が同じ場所に存在する。

物品記録 / 黒電話

項目 記録 関連ページ
分類 旧式回転式電話機。黒色。メーカー不明。 証拠品317
発見 山の貸家一階居間、畳中央部。 序章
着信 午前三時十七分。電話線なし。 着信記録
破損 玲奈が金槌で破壊したと証言。現物は破損なし。 黒電話の章
保管 証拠保管室第三棚。封印後もベル音記録。 警察報告書
証拠品317として保管された黒電話
Evidence Item 317

封印された電話は、まだ電話だった。

警察は、黒電話を証拠品として棚に収めた。 だが電話は、棚に入ったことで沈黙したのではない。 ただ、次に誰が出るのかを待っていた。

電話は、
鳴る前から怖い。
そこにあるだけで、
人は出ることを考えてしまう。

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